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第5回 「森下自然医学」理論をベースに「静電三法」の技術を活用して完全無農薬栽培に挑む稲作農家「アグリ・なかい」さん(2/3)

中井さんの目指す米づくりについて伺いました。

昔から米づくりの中で、『苗半作』・『苗七分作』といわれているように、農家は苗作りに最も苦心してきました。無農薬や減農薬というような、農薬に頼らない栽培方法を目指す上では苗作りは『苗八分作』位に重要です。「三つ子の魂百まで」といわれますが、それは米づくりにおいても同様だと実感しております。

現在広く行われている米作りは、機械化・省力化のために稲の生理を無視した栽培が行われています。また、一般の栽培はもちろんのこと、有機、無農薬、××農法、??米、等においても大部分が、稲の生育を肥料(化学肥料・有機質肥料を問わず)や農薬で人為的にコントロールするというやり方をとっています。例えば苗一つをとっても、30p×60pの箱に150〜200g、7,500〜10,000粒もの種を播きます。これも田植え機にうまく苗をセットするための、言うなれば機械の都合による播種量です。この播種量ではすぐに苗が込み合って、光合成が阻害され3葉が生育の限界です。そこで2.5葉期(一般に20日苗といいます)に田植えということになります。この時期というのは、離乳期(籾の胚乳養分での生育から、根からの養分吸収による生育に変わるという転換点)にあたり一番弱い時だといえます。このような生理を無視した栽培は、米作りを農薬と化学肥料の依存から抜けだけない迷路に引きずり込みます。

さて私の米作りについてですが、前述の苗作りの相違点のひとつを挙げると、先ず播種量が1/5ということです。このことは充分な生育スペースを確保できるということです。5葉の健全な苗作りに重点を置いています。私の米作りは、稲の生命力を十分に引き出す、または稲自らが成長していくという環境を提供する方向で考えています。

米作り=土作りということです。多様な微生物が共存する発酵合成型土壌を育てて行くことです。具体的には水田ですので、嫌気性・微好気性微生物群とその栄養分となる米ヌカ等、生の有機物の施用。それも表層に施用いたします。そのことによって多様な微生物群と稲との共生の場が出来ることになります。一般的にも「調和のとれた土作り」・「土作りにケイカル」等といい、土作りの重要性を訴えてはいますが、やっても効果のない電炉滓・転炉滓や鉱滓といった鉄鉱所の残滓を撒いているのが実態です。逆に言えば農家をだましてお金を取って産業廃棄物を処理しているともいえます。

また、完熟たい肥を1トン投入し、深く耕し土作り等といわれますが、完熟たい肥というのはいわば燃えカスでエネルギー状態としては低レベルです。また土は上から出来ることが自然の摂理で、そこから考えて、深耕も真の土作りとはいえません。私のHPのタイトルに含まれている「自然医学を原点に!」としていることにどのような意味があるのか?また、自然医学に基づく栽培とは?これについては、私が、自然医学理論を学び、そこから現在の一般的な栽培方法のおかしさを推察し、自分なりに解釈をし、それを米作りにフィードバックして思考しているものです。悪くいえば、勝手な思い込みかもしれませんがご紹介しましょう。

癌になるのはなぜなのか?米作りで病害虫が発生するのはなぜなのか?現れた結果にはすべて原因があります。癌になるのにも、病害虫が発生することにも。スタミナ付けるには牛肉を、カルシューム不足に牛乳を、これを飲んだら癌にならない、熱が出たら解熱剤。高血圧だからこの薬を飲んでたら大丈夫。それでダメならあの世行き。

生産量を上げるには、窒素を?s、カリを?s、リン酸を?s。土壌分析をしては、これが足りない、あれが足りない。あれをやればよく取れる、これの吸収量か少ないからこの肥料。挙句、病害虫予防にこの農薬を。それでも出たからこの農薬。よく似てるでしょ。医学と農学、栄養学と肥培管理。どちらもものの考え方が分析的で、機械論的です。そこには人間の生存も米の生長も生命現象だという基本が忘れ去られています。
  
自然医学理論は、病気を生命現象の現れとし、食物から体細胞へという、生命の誕生そして進化論的考察を、その理論のベースに持っていると理解しています。私は米を作る上においても、この生命現象としての米の生長という観点を常に念頭に置き、これからも米作りに取り組んでいこうという思いを、タイトルの「自然医学を原点に!」に込めています。


注)楢崎皐月は生命現象は電気現象であるとその本質を述べています。「静電三法」の植物波農法、人体波健康法は、その本質的な捉え方から成り立っています。医学者である森下氏と科学者・電気工学者である楢崎氏は親交があったとの資料が残っております。立場の違う両者は自然界を見つめる本質論において共感していたのではないでしょうか。中井さんはそのようなエピソードは知らずとも中井さんの自然と農作物を見つめる直観力は農業という実践の場において両者の理論を融合し見事に実践されているのではないでしょうか。



◆種子の準備◆

まず籾種を電子チャージした後に籾種の選別を行います。籾種の選別からいいものだけを使うことにしています。塩水選は、通常は1.3だけど、うちでは品種にもよるけど1.15〜1.16くらいで浮かす、浮くものが多くなるけど少しでも良い籾種を選別して使っております。

それと一番気を使うのは苗作り。30×60cmの稲箱に平均35gの種籾を撒く。一般は平均200g/箱くらいで薄く蒔いてもても120g/箱です。不耕起田植えは特殊で40gでやる。最近は薄まきでやれといわれているようだが。一般の人は良い苗を作るというより、田植えの際に田植え機でかきとる際に、欠株になってしまうからと心配する人のほうが多いです。

(1)3月下旬 選種作業


比重の違いによる籾種の選別の差
(注)塩水選:水より比重の大きい塩水の中に籾種を入れ、塩水に沈む重い種籾を選別する方法)
(種子法の検査に合格した日本晴の種子での比較結果)
比重1.16の場合、8kgの籾で2.5kgが浮き、籾種は5.5kgになった。(写真・右下)
農協が薦める比重1.13では、僅かに浮くだけなので、ほとんどの農家は塩水選を行わないと言う。試験的に試してみたところ比重1.13の場合、8kgの籾で0.3kgが浮き、籾種は7.7kgになった。私が実施している比重1.16ですと下の写真のように多くの籾が浮いてきます。比重1.16でも沈む、充実した比重の大きい籾種だけを使用することが、無農薬栽培の基本となります。



無農薬栽培の最初のポイントになる塩水選の様子

 



塩水選・比重1.16の場合


(2)3月下旬〜4月初旬 浸種

塩水選後、左の湧水流下式催芽器を用い、15度以下で4日間浸種します。浸種は、胚が籾殻の中で発芽活動に必要な水分(乾燥籾重量の15%)を吸収することを目的としています。

この催芽器は、溶存酸素の豊富な水を湧水のように循環させることができ、均一に十分な吸水をさせることができます。使用している水はもちろん電子水です。また木酢液を少量添加しています。これでより良い状態での浸種ができます。


 

(3)3月下旬〜4月初旬 催芽

浸種が済めば、電子水を交換して催芽をします。
播種に最適な催芽状態。胚が籾殻を破って白く現れてきたところ。
この状態を農家では、ハト胸といいます。
乾燥籾重量の25%の水分を含んでいます。
これで種まき準備OK!

 



◆播種作業◆



  (1)3月下旬〜4月中旬 播種作業

当り40gの播種量です。3〜4粒づつ入っています。超薄播きですので、生育スペースが充分取れ、健全な苗を作ることができます。また使用している土にはもちろん農薬は一切入っておりません。



  (2)4月初旬〜4月中旬 出芽

出芽器へ積み込みます。温度設定は、26℃です。
これは重要なポイントです。
根の生長を優先しての温度設定です。



  (3)出芽完了後です。

この状態のものを下記のように苗代へ据え付けます。
この苗枠は一般のものとまったく違うもので一株ごとにポット状になっています。 



◆苗の管理および田植え◆



  (1)4月上旬〜4月中旬 苗箱並べ作業

@まず、床の土を水を掛けながら練り、トロトロにします。
A表面を鏡のように均一にします。
B苗箱の底に土が付き過ぎると、田植機がトラブルを起こす為、それを防ぐためにネットを敷きます。
C苗箱を順番に並べていきます。
D苗箱の底がよく土に密着するよう、上から乗っています。密着が悪くて底が浮いていると、苗が育ちません。
E最後に、ラブシートをベタ掛けにして完成です。
ベタ掛けにすることで外気温とほとんど同じ状態の中で生育していきます。



  (2)4月上旬〜5月下旬 苗及び水の管理

並べ後から田植まで
苗が本葉2枚になった頃からラブシートを取ります。
よりしっかりした苗にするためです。
しかし、当地においては、4月中は、霜の恐れがあるので、晴れた日の夕方には、ラブシートを掛けなければなりません。
中腰で結構きつい作業です。



  (3)5月中旬〜5月下旬 田植え

このようにたくましく育った苗を植え付けています。
葉先に触れると痛いくらいです。
もちろん箱施用農薬不使用です。
本葉6枚が展開し、分けつをはじめている苗もあります。
軸の太さが断然違います。
上記の田植同時米ぬか散布はこのようは丈夫な苗を作ることが必要条件となります。



  (4)5月中旬〜5月下旬 田植え

植代から1、2日間あけて、田植えをおこないます。
一般の田植機と比べ、独特な形をしているでしょう。ポット成苗専用の田植機です。
2002年からは、田植えと同時に雑草対策としての米ぬか散布が出来るように田植機を改造。
2005年にやっと満足出来る散布を実現しました。
雑草にも様々な種類がありますが、ヒエは米ぬか散布により完全に抑えることが出来ます。



◆田植え後の本田管理作業◆



  (1)4月上旬〜4月中旬 苗箱並べ作業

酸発酵させた米ヌカペレットを10a当り100〜200kg散布します。 これは相当タフな作業ですので何とかしたいと思い2004年から本格的に田植同時散布を行なっています。 写真のような田植後の散布は小さな田んぼや同時散布の補助作業として行なっています。 米ヌカが散布された田面の状態。

米ぬか散布による効果
1.分解発酵過程で生じる有機酸による雑草の発芽発根を抑制すること。
2.微生物の増殖
3.結果として稲への養分供給
期待の雑草の抑草効果に於ては、ヒエなどには十分な効果がありほとんど発生しません。 後は下記で紹介する機械除草で対応します。 また、米ぬかを使用するようになってから、米の食味が上がったような気がしています。これは思わぬ収穫でした。



  (2)6月上旬〜下旬 除草作業

上記の米ヌカによる抑草もオールマイティーではありませんので機械を使っての除草は欠かせません。 この作業をしていると珍しそうに立ち止まって見ていく人も多くいます。 2005年、農機メーカーの「みのる産業」から乗用除草機を借りて作業を行ない、今までの重労働から一気に楽になりました。とは言っても、除草剤の手軽さにはかないませんが。 2006年から本格導入です。



  (3)7月上旬〜中旬 溝切り

田植え後ずっと湛水状態でしたが分けつ数がある程度確保できるこの時期に一旦水を落としてたんぼを乾かします。 これを土用干しといいます。 溝切り作業の様子 2〜3m毎に排水のための溝をつけていきます。 この作業を怠けると秋の刈取り時にコンバインが軟弱部にはまり込み、泣く羽目になります。 また、溝をつけることにより、これから収穫までの水管理もやり易くなります。 上の写真のように水を深く張った状態で作業を行います。この深水状態で行うことで田んぼの高低に関係なく一定の溝がつけられます。

(4)7月末〜8月初旬 病害虫防除(一般)

一般ではこの時期に農薬による病害虫防除を行いますが、私は一切行っておりません。 種籾の準備段階から苗作り、田植、その後の管理全てに置いて、病害虫防除を必要としない栽培を行ってきていますので、病害虫に負けない健全な生育をしています。 もう一度苗作り、春作業のページをご覧ください。よく解って頂けると思います。 しかしながら、害虫の中でカメムシには中々効果的な方法が無いため、その食害による斑点米が出来ることがあります。 これに対しては、アグリなかいでは2003年から色彩選別機を導入して、精米の前に除去する方法を取っております。農家レベルでの色彩選別機の設置は、現在のところではほとんど無いといっても良いでしょう。



◆秋の作業(刈り取り、乾燥、精米、出荷)◆



  (1)9月初旬〜10月中旬 刈取り

我が家の刈取りは、コシヒカリ等の早生品種から始まり、晩生のあいちのかおりで終了となります。 あれも作りたい、これも作りたいと栽培品種が多くなり収穫期間が長くなり、乾燥機等の利用効率は落ちますが、短期に作業が集中せず、適期に刈り取りができるのは強みです。



  (2)9月初旬〜10月中旬 乾燥、精米、籾穀処理

収穫した籾のままでは保存できないので、貯蔵性を向上させるため15〜14%の水分まで乾燥させます。 乾燥の仕方は米の食味に大きく関係しています。

我が家の乾燥法の特徴
@水分19%以上の籾を乾燥するときは規定の設定温度より6〜10℃低く設定する。
A水分19%以下になった時点で4時間の休止時間を取る

この2点を徹底しています。 我が家の乾燥方法は時間がかかることが唯一の欠点です。 その対応として乾燥機を4台据えつけています。 通常の処理能力からみると倍以上耕作面積を持つ農家の設備と同等で、過剰投資を指摘されそうですが、実はそのうち3台は中古で対応してます。 乾燥した籾を籾摺機で籾を落とし、選別機で籾殻や石を取り除いて出来上がり。 精米は注文に応じ、7分づき、5分づき、3分づき、白米に仕上げ、電子チャージと低温保存で鮮度抜群のお米を出荷しています。



  (3)10月中旬〜 出荷時 米の電子チャージをしているところ

ご注文いただいたお米(玄米、精米)を、碍子で絶縁したテーブルの上で、最低10時間はチャージします。

玄米は生きていますので当然呼吸しています。 そして呼吸することによって内部の分解酵素が働きます。この酵素作用が進むほど、玄米は古米化して行くことになります。 鮮度を保持すること、言い換えれば古米化を遅らせるためには、一つは、呼吸を出来るだけ少なくすることであり、もう一つは、酵素作用を抑制することです。

まず呼吸は、温度が高くなると激しくなり、米では15度を超えると急に呼吸量が多くなるので、15度以下で保管することがベストです。うちでは冷蔵コンテナーで8〜15度以下にて保管しています。

次に分解酵素はおおむね陽イオン物質(プラスの電荷をもっている、電子が離脱した状態)なので、電子チャージ(付加する)することで電気的に中和され、酵素作用を抑制するこができます。 発芽も酵素作用によって行われますから、鮮度のいいものほど発芽時期は遅滞します。これを利用すれば、古米と新米の見分けをつけることも可能です。 ご注文いただいた方にお届けするお米は電子チャージをしています。

我が家では、より安全で健康に良いものを目指し、米作りに取り組んでいます。 しかし、環境破壊の深刻さが叫ばれている通り、周りの環境酸性雨、大気汚染、地下水や河川の汚染等)は、日々悪くなっており、至る所に汚染物質が充満しているといっても過言ではありません。 その中において栽培方法だけでは、そういった影響を回避することは出来ないというのも、明白な事実だといえます。 その影響を回避する、または緩和する方法の1つが電子チャージなのです。

また、土間の六角形のコンクリート跡には、炭素埋設を施しています。 深さ1.5mの穴に1トンの炭素が入っています。敷地全体で7トンの炭素を埋設しています。 炭素埋設は、炭素の持つ蓄電性を利用し、地中に埋めて電極とし、地球の持つ電磁勢力を賦活調整する場のエネルギーを高めます。静電気利用のベースとなります。



◆収穫後の作業◆



  (1)籾殻の散布の様子

籾摺りで出来た籾殻を田んぼに散布します。 我が家では籾殻を最高の土作り資材という認識で全量を田んぼへ還します。その際、全量を全面積にではなく、全量を10分の1の面積に集中して施します。

以上が中井さんの米作りの現状です。

アグリなかいの無農薬栽培米をご購入されたい方は下記HPからご注文下さい。
アグリなかい 中井 勤
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滋賀県東近江市市子川原町725
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