第1回 楢崎皐月氏の直弟子・松原喜一さんを訪ねて(1/7) 駅舎を出ると目の前には整備された小さなロータリーと閑静な住宅街が目の前に飛び込んできた。駅前を歩くとなぜか「空気が美味しい」。さわやかな心地よい風が長旅の体を癒してくれる。ここは富山県南砺市の福野駅。春にはチューリップ祭りで有名な砺波の駅から3つ目の駅である。今回、楢崎先生の直弟子として自他共に認める松原喜一さんの取材に訪れた。初めて訪れる地とはじめてお会いする松原さんへの期待を込めて自然と身が引き締まる。
車で出迎えていただいた松原さんは80歳を超えているとは思えない大変若々しくお元気いっぱいの方だ。早速、松原さんの案内で福野町が一望できる福野文化創造センターへと向かった。
航空写真による相似象技法の研究資料
1.相似象学に基づいた都市計画「福野町の区画整理事業」
町のちょうど中央に位置している福野文化創造センターは6階建ての建物で、屋上の6階展望搭の高さは地上から27mで360度のパノラマが広がる展望台となっている。松原さんは「この地区の主要な道路、公共の建物すべては相似象の優勢線にあわせて造っており、この福野文化創造センターのドームもその基準に合わせ造ったものですよ。ここで勤務している方々はさわやかな、心地よい環境の中で毎日を健康に過ごすことができます。また、ご覧のとおり、建物の壁などもひび割れなど1つもないんですよ。」松原さんからいきなり飛び出した“相似象、優勢線”について詳しく聞いてみた。「向こうに見える山並みと中間の森の高低を比較して眺めてみると優勢線、劣勢線がはっきりわかるでしょう。」・・・・松原さんの指さす先を眺めてみると、なるほど遠方の山々の高低と中間に位置する森の木々の高低がはっきり相似しているのがわかる。そして、それらの線上を直線で結ぶ後ろの山々の高低までそっくりそのまま相似している。・・・・・「静電三法」の相似象学にある高位指向線(優勢線)と低位指向線(劣勢線)がはっきりと確認できる。
(相似象とは「地球の表層に腑存する自然物は、その形態容相が重深的に互いに相似する。」とある。一般に言えば、地表面における山の姿や植物生育の様子、岩石の風化される形や海水の陸地浸食の有様などを注意深く観測すれば、雲の形と山容と相似し、山容と植物の生育の姿が相似して客観される地点がある。その地点は地表面上の任意の地点において相似の現象を観ることができる。「静電三法」相似象学より抜粋。)
ここ、福野文化創センターのドームは相似象学でいう高位指向線上(優勢線上)に建っているのが記者にもよくわかる。「炭素埋設は昭和38年からはじめ各地で実施してきて、昭和60年代に本格的にはじめたんです。何百年と続いた家も、その後、ほとんどが建て替えたので新しい家ばかりですよ。あそこに見えるマンションの通り沿いにも半径25mおきに三角形方式で炭素埋設がしてあります。」
松原さんが町議会議員をしておられた後期に、町の皆さんに働きかけ、「静電三法」の第1部にある「相似象学」、第4部にある「植物波農法の炭素埋設技術」に基づき、道路、公共施設など町全体を優勢線上に写し建て替え、要所に炭素埋設を施したのである。
案内される先々、どこに行ってもとにかくさわやかな空気に驚かされる。さわやかな空気で体が軽く感じられるすばらしく環境の良い町である。
これらの事業は20億円の区画整理事業(幹線事業)として、国の力も借りて松原さんが提案し指導者となり造り上げたものだ。この区画整理後、ほとんどの家は相似象学でいう優勢線上に新しい家を建て替えた。区画整理事業を相似象学に基づき高位指向線上(優勢線上)に創り上げたのは富山県でも福野町だけとご自慢の様子。たぶん世界でも初めての試みであろう。いやはや驚嘆の一言である。
続けてお話を伺ってみた。福野文化創造センターから南西に位置するフローラルパーク(園芸植物園)も相似象の優勢線上にあり、メキシコ産の「コダチダリア」の花が12m以上も伸びた茎の先で見事に咲くのだという。南砺市役所、小、中学校、福野体育館、福野厚生病院、児童養護施設、金融機関などの建物は全て優勢線上にあり、また、民間の工場などの建物も優勢線上に建てるよう指導したという。町の北西にある日本有数の橋梁メーカーや精密機械の工場も優勢線上にあり、各施設で働く職員の健康状態はすこぶる良く、病人などはほとんどいないという。また、町民の憩いの場である温水プールも優先線上に建設しており、お湯が冷めにくいと喜ばれているという。これら全て偉大な自然の力を活用した健康生活、省エネ技術の事例である。相似象の見方、炭素埋設の仕方とその応用や効果については、「静電三法」詳しく記述されている。
(この相似の現象は単に自然物体の形が似るだけでなく、動植物の生理現象に関連し、人の精神作用と交渉を持つものである。また多くの宗教的神秘性の物語はこの現象の二次的所産と言えるのである。「静電三法」相似象学より抜粋。)
相似の現象(高位指向線(優勢線)の並列)
遠方の山並みの尾根と中間の林の高みと手前の草木の植生が相似している
この文化創造センターは内井昭蔵(故人)という有名な建築家の方が設計に2年間もの歳月をかけ、松原さんが指導する相似象の考えも取り入れて、平成3年3月3日にオープンした活用しやすいL字型の建物で、福野町のシンボルとなっている。
1階にあるホール(円形劇場ヘリオス)は半円形のステージを取り囲むように613席の客席があり、優れた音響効果と自慢のベーゼンドルファピアノが設備されている。2階にはスタジオ、アトリエ、各種セミナールームやミーティングルームが配備され、コンピューター教育や様々な研修会にも利用しているという。3階には福野町図書館があり、10万冊の蔵書に目を見張る。
松原さんはおっしゃる。「町ぐるみでやるとことで効果が上がるんですよ。どんな事業するにしてもこのような考え方が欠けると駄目なんです」と。・・・・これからは地方の時代、町おこしの原点を教えていただきました。
(相似象の観方:地表面上の1点(半径5mの円の円周)で円周を移動しながら四方を景観する。(眼は半開きにして展望すると良い。)必ず、視界の一部に重深的に配列する相似形が客観される。「静電三法」相似象学より抜粋。)
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