第4回 電子技法をブリーディングに活用(1/3)健康な仔犬を産ますコツは電子技法の活用と散歩がポイントです。
素晴らしい毛艶、体臭がほとんどない、寄生虫がわかない
電子で飼養されている足立彰典のブリーディング紹介
足立さんは(有)中部電子技法の代表取締役を勤める傍ら、ご自宅ではパグ、フレンチ・ブルドッグのブリーダーとして活躍されている。今回は「静電三法」の技術を活用して、健康な仔犬を飼養するブリーダーとしての足立彰典さんをご紹介します。
●ブリーダーはいつ頃からはじめられたのですか?
ブリーダーを本格的にはじめたのはここ1、2年前からです。
フレンチ・ブルドッグとパグを飼いはじめたのは3年位前からです。
・パグという名前の語源はラテン語の「握り拳」を意味する「パグナス」からだそうです。性格はとても陽気で、賢く、辛抱強いが、つぶれた鼻先の犬種は呼吸がしにくいという特徴があり、暑さに弱い。中国原産の小型犬
・フレンチ・ブルドッグはもともとイングリッシュ・ブルドッグがもとになっていて、フランスでパグやテリアとの交配によって作り出されたそうです。性格は物静かで情愛にあふれ、繊細なところがあります。
一番最初にパグを飼ったのは、12年前、息子が中学2年生の時、受験期を迎えた息子の癒しを目的として飼い始めたのがきっかけです。多くの受験期の子供達はチョッとしたことにも敏感で、いらいらすることが多くなる。そんな息子と家族のコミュニケーションが図れればと思いパグを飼い始めました。
イライラして、時に僕たち家族と衝突する息子も、不思議とパグにはあたらない。パグは息子の大事な受験期を“癒し係り”として大活躍しました。ちょうど、前に飼っていた雑種犬が死んで、また、年寄りがいると家の中で犬を飼うことなんてとてもできないことですが、もう既に亡くなっていたので・・・・・。
それからというもの足立さん家族は「我が家のパグが一番可愛い!」と“親馬鹿”ならず、“パグ馬鹿”が始まったそうだ。初めは家の中で犬を飼うことに大反対をしていた奥さんも、今ではそのパグを一番可愛がっているという。
パグは、一見、毛が短くて部屋の中で飼うにはうってつけのように思えるのだが、実は毛が良く抜ける。だから家族はみんなきれい好きになったという。パグが歩いた部屋の落ちた毛を掃除機で吸い取ることが家族の日課となった。
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足立彰典さん
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自宅の北側にある犬舎(右側)
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一番最初のパグは何回かのお産で全部で15匹くらい産みました。初めて4匹の子供が産まれ、4匹とも無事に育ち、1匹のメスを残し3匹を1匹5万円位で友人、知人に売りました。
安いですね。ネットでは20万円/匹位ですよね。
なんでそんなに安いんですかといわれることもある。それは育てる地域、環境によるものです。東京と岐阜では地価も違うし、人件費も大きく異なるでしょ。
その残したメスは残念ながら不妊症みたいで1回しかお産できなかった。たぶん排卵のリズムが不規則で排卵日とかを僕のほうがきちんと把握できなかったことが大きな原因だと思うけど。
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次に黒いパグがブームになり始めたので、黒いパグを探し求め飼い始めたんですが、これが多産系だったのか、一度に6匹とか、7匹産まれ、ペットショップに持っていったら、通常は5千円から1万円位なんだけど、そのぺットショップの方が親切な方で1匹3万円位で引き取ってもらえた。口コミなんかも広がって1匹10万円位で買ってもらっていました。
通常、ブリーダーは顔の長いタイプの犬を飼う人が多いですね・・・・・・顔の長いタイプの犬はお産が楽なんです。
パグとか顔が大きい犬はお産が難しいということもあって一般のブリーダーはあまり扱わない。お産の時に顔が詰まってしまうことも良くあると聞いています。
帝王切開で腹を切って産ませると2万円〜5万円程度の手術代がかかる。また、帝王切開でお産させると一生で3,4回しか産むことが出来ない。特にペットショップにいる犬は不特定多数の人からストレスを与えつづけられ、また散歩とかさせないからお産が長くなり難しくなる傾向になる。どうしてもコストが高くなる、だから仔犬も高く売ることになる。
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パグの赤ちゃん・・・・可愛い!!
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高くした木の柵
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僕のうちの場合には交配して1ヶ月くらいして妊娠がわかったら朝晩、毎日500mくらいは必ず散歩させます。そうするとお産がとても楽になります。もちろん、通常の散歩も欠かせたことはありません。
また、見ていただければ分かると思いますが内股の筋肉の太さがペットショップの犬とはぜんぜん違いますね。
先ほども、嬉しいあまりジャンプして木の柵を飛び越えそうになりましたが、最初はもう少し柵が低くかったんでよ。
最初はアルミ製の柵で80cmの高さだったんですが、ジャンプして逃走してしまうので、ご覧のとおり、木の柵でその上を、もう40cm高くしました。今では120cmの高さの柵でも気をつけていないと飛び越えそうになります。
すごい筋力でしょ。それに、うちの犬たちはとても人なつっこい。
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@犬の妊娠からお産
犬の妊娠期間は平均で63日。交配日を1日目として63日目に出産する。また、犬の出産は夜中が多い。
・妊娠前期の交配後2週間ごろにはツワリのような症状(食欲がなく、食事にムラが出る)をみせるが、2〜3日で収まります。
・妊娠中期・交配後22日前後で受精卵は着床し安定期に入る。
・妊娠後期・お腹も膨らみ、外見から見ても妊娠しているのが分かる。段差のある場所は要注意。食事の量は最終的には通常の30%増しになり、1日、3回から4回に分けて与える。
・出産の当日は母犬はお腹をからにして産むという本能から何度もトイレに行き、排便、排尿を繰り返す。
・無事に全ての仔犬を出産し終えると母犬は仔犬たちをお腹に集めお乳を飲ませ、しばらくの間は産箱から離れようとせず育児に専念します。
足立さんのところでは、これまですべて自然分娩で出産させている。
よく、プロの人から「どうしてそんなに難しいパグとかフレンチ・ブルドッグを飼うのか?」と聞かれるが、やっぱり飼うのなら高く売れる犬を飼ったほうがいいと思っています。それにパグは賢い、ほとんど言っている事が判る。犬嫌いな人は“可愛い”という言葉が出ない。“可愛いと”いう言葉や、お客さんが来た時なんかでも、主人と相手の口元を見ながら自分のことを話しているなと判ると尻尾を振る。本当に賢いと思う。
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フレンチ・ブルドッグのママと仔犬
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足立さんのご自宅
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だから、パグを飼う人はそのパグが死んでも、また次もパグを飼う方が多い。普通の犬とは違う、とにかく賢い。でもパグを飼っていない方から見ると、毛が良く抜ける。
犬の中でもパグが一番よく抜けると思いますね、家の中で犬を飼って汚いというイメージがあるが、そうじゃない。
女性の人はきれい好きになる、汚い好きの人でもきれい好きになる。
毛が抜けたり、床に転がっているものはみんなかじってしまうから、物を下に置かなくなる。
携帯を壊されては困る、めがねを壊されては困る、本を破られては困るとかで、いままで掃除をしなかった人でも必ず掃除ができるようになる。
つまり、家の中で犬を飼うことは汚いんではなくて、必ずきれい好きになりますね。
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Aしつけ
「どうしてしつけをしたらいいですか?」と聞かれることがありますが、犬は自分が生活する場所と感じが違う場所におしっこをする習性がある。
簡単に言えばあちこちでおしっこをされるということは、家の中が汚いということになる。
部屋の中が汚いと犬は足の裏の感じの違いから、「ここはおしっこをしてもいいのかな!」と思う。汚い所を探してする。きれいにしてるとソソウはしない。
また、部屋の中を歩いていて1回おしっこをすると、前の匂いが付いてあるから同じ場所におしっこをするようになる(マーキング)。
どんな動物でも自分が寝ていた所におしっこをするものは絶対にいない。
おしっこのしつけは、まず広めのゲージで囲って、餌を食べさせる所とおしっこをする所をきちんと教えてやる。小さいうちにおしっこシートでする癖をつけてやると、足裏でおしっこシートの感覚を覚えて、必ずそこでするようになる。
最初のしつけがとても大事です。
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足立さんに甘えるフレンチ・ブルドッグ達
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B足立さんがどの犬種のブリーダーになるのかを決める際、何を基準に決められたのですか?
パグは美容院に行かなくてもいいと思ってパグを飼い始めた。あんなに毛が抜けるとは思ってもみなかった。ハハハ・・・でも可愛い。
「しつけ」についても最初は判らなかったものだから叱ってばかりいたら、隠れて見えない所で悪いことをする。子供と一緒ですよ。誉めて育てることですね。とにかく誉めてやる。おしっこなんかでも失敗したら黙って片付ける。失敗してガミガミ怒っても遊んでくれていると勘違いする。だから失敗したら遊んでもらえると思うからまた繰り返す。怒ってばかりいると萎縮して余計しつけが出来なくなる。小型犬はあくまでペットなんだから、失敗して怒るより誉めて上手に育てる方がいいと僕は思います。
警察犬など大型犬は厳しいしつけも必要だが、ペットとして飼う小型犬は最低限のしつけで十分だと思いますよ。たとえば、大型犬でもスクールに行って調教してもらう時には調教師が1番で、飼い主は3番目位にくらいにしか見なくなる。だからスクールで調教して戻って来たら飼い主がよほど厳しく接しないと調教前の状態に戻ってしまう。
ただ小型犬でも最低限教えておかなくちゃいけないことがあります。“犬は接する相手の順序をつける動物だ”ということを忘れてはならないことです、誰が一番で誰が2番でと犬自身が決めていく。それと、“お前はペットなんだぞ”と自覚させないといけない。
犬を一緒に寝させたりしている人もいるけど、子供なんだと思わせてはいけない、どこかで 線引きしてやらないと勘違いして小さな子供に噛み付いたりすることがよくある。あんまり可愛がりすぎると、自分が一番なんだと勘違いして、人に噛み付き大怪我をさせ、最後は泣く泣く処分してしまうケースが知人のところでありました。
仔犬のパグがチュー!!
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Cドッグショー
ドッグショー(犬の展覧会)ではよりスタンダードの犬がチャンピオンになる。また子供を産ませずに何回もショウに出場することで基本点数が上がりチャンピオンになることができ犬の価値は上がるが、現実的にはショーチャレンジしながらの出産は難しい。
僕はペットとして飼うにはドッグショーに出す必要はないと思う。
ドッグショーではよりスタンダードに近いとされる犬が表彰されるわけだから。
ペットとして飼うには、個性があった方がいいとおもいますよ。
ブリーダーの世界では台牝(出産するメス犬)、種牡(種オス)といいブリーディング用の犬を選ぶことがブリーダーにとって一番重要なポイントとなる。よりスタンダードに近いもので、遺伝性の疾患がない犬を選ぶことが大事です。
犬の世界では出産する女の子の質より、男の子の質が重要視され、仔犬の値段も変わってきます。
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D交配
僕のところには、現在、メスのパグ3匹とメスのフレンチ・ブルドッグ4匹を飼っていますが、全て行きつけのペットショップで交配させています。今いるのは12年目で64歳のパグが一番年寄りですが、23才と56才のパグ、そして、フレンチ・ブルドッグは23才、23才、18才、18才の4匹がいます。
交配の相手を選ぶポイントは血統、体型、毛色ですね。
出産させるのには、1年目(18才)から6年目(40才)位の成犬期の頃が元気ないい子を産みますね。
E資格、届出
・ペット販売士(家庭動物販売士:第3070056)の資格を持っています。
届出は
・動物取り扱い業(販売)の届け出をしています。関保第535号−050026
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12年目(64歳)のパグ
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【ミニ・コラム】
パグはとても愛嬌のある犬です。被毛カラーはフォーン、ブラック、シルバー、アプリコットの4色。
一緒に遊ぶととても喜んで遊びます。遊びながら躾をすると、いろんな事を覚えて、誉めてやるととても喜びます。
無駄吠えもなく室内で飼うのに適していますが、いびきがすごいです。結構、甘えん坊の焼きもちやきの面もあります。
夏は暑さに弱く、日中に外に出るとすぐに息が荒くなりますので、夏の日中はなるべく散歩は避けた方が良いです。
また、目が大きいので目の怪我にも気を付けた方がよいです。顔のシワは汚れが溜まりやすいので、こまめに拭いた方が良いと思います。
良い仔犬の選び方としては、鼻がぺっちゃんこで気道が短いので、なるべく鼻の穴がしっかり開いている方が良いと思います。
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